ミリオンダラー・ベイビー その2

いまだにとらわれている。
私の生活の中でスポーツ観戦が多くなった昨今。
その世界でトップに上りつめられる人はほんのわずか。
一歩手前まで行く人はその何倍か何十倍もいるだろう。
精一杯頑張って、でも届かなかった人たちが。
マギーもそう。頑張って、頑張って、その姿には好感がもてた。
けれど、頂点に届かぬまま残酷な結果にみまわれた。
それを、淡々と淡々と描いた映画。そいうえば、ミステリック・リバーも淡々と描かれた映画だったな。
クリント・イーストウッドはそんな作風の監督なのかもしれない。
そして思い出したのが、自然主義文学。
この言葉に始めて出会ったのは中学の国語だったと思う。
あるがままを自然に描く。
勧善懲悪ではなく、現実の世界は悪が強く幸せをつかみ、善意ある弱者が悲惨なめにあったりする。
それをあるがままに描く、そんなスタイルだったと思う。
それで、何かのときに、同級生が自然主義的鉄腕アトムだったかなそんな劇をやったような記憶がある。
実際の生き方とは、頑張った人が報われないことも多く、悪い人が得をすることは多々ある。
自分が納得できるかどうかなのかもしれない。
マギーは想った以上の体験ができた、満足だと言った。
フランクは苦しみながら、マギーの想いを遂げさせてやった。
フランクは自分の人生に満足して、納得できたのだろうか。
これも、その解釈は見る人に任された映画だ。

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ミリオンダラー・ベイビー

2004
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク 、モーガン・フリーマン

クリント・イーストウッドが監督し、アカデミー賞で、主演女優、助演男優、監督、作品賞の主要4部門を制覇した映画。

フランキー(クリント・イーストウッド)は、小さなボクシング・ジムを経営している初老のトレーナー。
ジムには、フランキーの長年の友人であり雑用係のスクラップ(モーガン・フリーマン)がいる。
フランキーは優秀なカットマンだが、スクラップのトレーナーとして彼の片目失明を防げなかったという自責の念にかられている。実の娘には縁を断たれ、それでも出す手紙はいつも返却されてくる。
有望株のボクサーは、教え子を大事に思う余りタイトル戦を先延ばしにするフランキーにしびれを切らし、別のマネージャーの下へと去ってゆく。
そこにマギー(ヒラリー・スワンク)がフランクに弟子入りを志願する。
マギーは、トレーラー育ちで13歳からウェイトレスをして生計をたて、ボクシングにかけてロサンゼルスにやってきた31歳の女性。
しかし、女性ボクサーは取らないと主張するフランキーにすげなく追い返される。
だがマギーは、ウェイトレスの仕事をかけもちしながら、その他すべて練習に費やしていた。
そんな彼女の真剣さに打たれ、ついにフランキーはトレーナーを引き受ける。
彼の指導のもと、めきめきと腕を上げたマギーは、試合で連覇を重ね、瞬く間にチャンピオンの座を狙うまでに成長。世界をめぐる。
実娘に何通手紙を出しても送り返されてしまうフランキーと、家族の愛に恵まれないマギーの間には、師弟関係を超えた深い絆が芽生えていく。
そして百万ドルのファイトマネーを賭けたタイトル・マッチ。対戦相手は、汚い手を使うことで知られる"青い熊“ビリー。
試合はマギーの優勢で進んだ。しかし、ビリーの不意の反則攻撃により倒され、マギーは全身麻痺になってしまう。
寝たきりの生活になり、床ずれはでき、もはや感覚もない脚も失ってしまった彼女はやがて死を願い、フランキーに頼む。そして、フランキーは悩みながらも、マギーの呼吸器を外して安楽死させてやる。
それから彼は、スクラップらを残し、自分のジムから姿を消す。

なんとも重い映画だった。後にひく重さ。
重さといっても巨石の重量感ではなく、高密度の小さな錘を投げ入れられた感じだ。
観ているときも涙はでてきたが、その後のエンディングで更に涙が溢れ出てきた。
翌日、翌々日と、映画にこめられたメッセージが時折よみがえり心を捉えてしまう。
信じるものは何なのか。神・家族・金・絆・魂・自分。
生とは、死とは。人生とは。
夢、生甲斐、野心、業、後悔、納得これらにどこでどのように折り合いをつけて生き、死んでいくのか。
そんなことを考えさせられてしまう映画だった。
そんなことを思いながら、昼休みにふと目にとまったのが、ほぼ日の今日のダーリンの記事だった。
「父親たちの星条旗」について語られていた。
「どう表現していいかわからなかったのは、これは「おもしろかった映画」と言えるのかどうかも、わからなかったからです。この物語のなかで感情が動くことは、実はあんまりなかったのです。」
そんなことが語られていた。クリント・イーストウッドとは、淡々と描き、その中でも重厚なインパクトを与る。そんな作品作りをする監督なのかもしれない。

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小泉純一郎

特別ドラマスペシャル 総理大臣 小泉純一郎 なるドラマを少しだけみた。
少しだけみて、チャンネルを変えてしまった。
「くだらない」というのが、まず感想。日テレは何を意図したのだろうか。
確かに、小泉純一郎という人は頭が良いのだろう。なかなかの戦略家だと思う。
5年の任期で何ができるか、どうすれば良いかのシナリオを持って挑んでいたのだろう。
そして、成し遂げた様に見せている。とても賢いやり方だと思う。
やられてきたことの結果がでてくるのはこれからで、それがどのように評価できるかもこれから。
だから、辞めて正解だろう。
日テレのドラマは、小泉賛歌に見えた。だから、くだらない。
そんなドラマを今、製作・放映する意図は何なんだろう。

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マイボス・マイヒーロー

夏クール、少しずつドラマを見ている。
サプリ、結婚できない男、を時々、マイボス・マイヒーローは土曜日なのもあって結構見れている。
ベタだけど、なかなかに面白い。
そしてなかなかに良いメッセージを投げていると思う。
主題歌が最初はリズムにしか聞いていなかったけど、私の中で、だんだん残るようになって、歌詞を聴いてみると、なかなかに野太い。
ジャニーズらしくないじゃん、と思い、歌い方もまるで中島みゆき、と思ってたら、本当に中島みゆきの曲だった。
やっぱり。裏切られなかった。なんかうれしい感じ。
中島みゆきが聴いてみたくなった。

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韓流ドラマ

流行に流されてか昨年から今まで多くの韓国ドラマを見た。
冬のソナタ、美しい日々、真実をテレビ放送でみた後、もっともっと観て見たくて、ビデオを借り始めた。
秋の童話、新貴公子、ホテリア、夏の香り、初恋、裸足の青春、愛の群像、若者のひなた、恋歌、と観てきた。
ストーリー的に気に入ったのは、ホテリア、愛の群像、若者のひなた。
思いやりとか、家族の情愛や友情、凛とした生き方、潔さとかそんな想いが込められた話に惹かれたのかもしれない。
韓流ドラマは大抵長い。でも次を観たい衝動に駆られるそんな作りが上手い。
50話以上もある話を最後まで観てしまう。
昨年より前数年間、韓流は当然のことながら、日本のドラマもあまり観ていなかった。
仕事からの帰りが遅いというのも大きいけど、興味も無く、忙しさにただ流されていたかもしれない。
最近では、1クールに1つくらいはそれとなく日本のドラマも観ている。
それに加えて、韓流ドラマのビデオを毎週借りてきている。
そして、単に娯楽というだけではなく、元気をもらえている気がする。
流されていく自分を、少しは立ち止まらせてくれたりする。

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ラストサムライ

2003
監督:エドワード・ズウィック
出演:トム・クルーズ、ティモシー・スポール、ビリー・コネリー、トニー・ゴールドウィン
渡辺謙、真田広之、原田眞人、小雪

オールグレンは、南北戦争の英雄と崇められていたが、自身は原住民討伐戦に失望し、酒に溺れる日々を送っていた。
そんな時、近代化を目指す日本政府に軍隊の教官として招かれる。
そして、勝元軍との戦。オールグレンは諦めることなく良く戦う。しかし、負傷し捕えられ、勝元の村へ運ばれる。
勝元は、天皇に忠義を捧げながら、武士の根絶を目論む官軍に反旗を翻していた。
異国の村で、侍の生活を目の当たりにしたオールグレンは、やがて、その静かで強い侍の精神に心を動かされていく。
移ろうとしている時代の中で、凛として侍の心・生活を徹すラストサムライ勝元に、共に歩み守る道を選ぶ。

DVDで見た。
トムもかっこいいが、渡辺謙の迫力のある演技、真田広之の凛とした演技は、それ以上にかっこよく感じた。小雪も凛として美しい。
そう、ひとつ気になったのは、立ち回りのときの刀と刀が合わさる音。何かしら、乾いた軽い音が耳についた。フェンシングの音の様な感じ。日本刀はもっと重量感があったはずだと。
そういえば、大村を演じている原田眞人は、役者というよりは監督を生業とする人だったと思う。
そんな、元来が監督業の人が役者をするときってどんな視点で演じるのだろう。
今回、DVDで見たので、特典として、監督エドワード・ズウィックによる解説バージョンも見ることができた。
どんな思いでそれぞれのシーンを作り、どんなことを感じていたか、制作の過程での感動が語られていて興味深かった。

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ターミネータ3

2003
監督:ジョナサン・モストウ
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、クレア・デインズ、ニック・スタール、
   クリスターナ・ローケン

ミリタリー・コンピューター、スカイネットの計画を潰し、人類の未来を変えたサラとジョン・コナー親子。
それから10年が過ぎ、審判の日は来ず、ジョンは不安を抱えたまま放浪生活を送っていた。
その不安は間もなく現実となる。
ネットワークに繋がるコンピュータがなにやら少しだけおかしくなる。
スカイネットが、最新型マシーン、T‐Xを送り込む。
ジョンの旧友たちも、そして偶然再会した幼なじみケイトもその標的だった。
そして、かつてジョンを守ったターミネーターが現れ、ジョンとケイトをT-Xの襲撃から守る。
ターミネーターが語る衝撃的な真実。
目前にせまった運命の時、そして変えられなかった人類の運命と2人の運命。

重量感のあるアクション、スピード迫るひたすらぶつかり合うカー・クラッシュ。
そして、56歳とは思えないシュワルツェネッガーの肉体。役者魂とはすごいものだ。
自分は特別な人間だ。そう思っていたのに、特別な人間となるはずの出来事がおこらなかった。
未来が信じていたものと違っていた。それは良いことのはずなのだが、じゃあ特別ではない現実世界のなかで不安を抱き自分の価値をみいだせないまますごす日々。
そうした始まりは面白かった。
アクションも面白かった。
ストーリーは今ひとつ物足りなかった。
愛がなかったのかも知れない。
ただ、運命は変えられない、それは興味深い終わり方だった。

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リクルート

2003
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:アル・パチーノ、コリン・ファレル、ブリジット・モイナハン、ガブリエル・マクト

名門工科大の学生ジェームズは、CIAの首席教官であるバークにリクルートされる。
ジェームズは、父がCIAであり、任務の中で亡くなったと知り、この申し出を受ける。
特別施設ファームに集められたジェームズたちは、過酷な現場訓練と心理操作を叩き込まれる。
訓練の中、ジェームズは、訓練生のレイラと心を通わせるが、訓練の中でバークの仕組んだ拷問・心理戦に屈し訓練から外される。
しかし、これは、ジェームズを秘密工作員に仕立てる偽装だった。
そして、ジェームズの最初の任務は、二重スパイの容疑がかかるレイラの監視だった。
ジェームズは秀才で、スパイとしての素養もある。
ベテラン教官バークはそれを見抜きリクルートするそして利用する。

若さと素質というものを羨ましく感じた。
それと、人は何のために働くのか、そして命を懸けるのかなんてことを考えてしまった。
何も、仕事に命をかける必要なんてないし、そんなつもりもないかもしれない。
けれど、与えられた使命を全うするために命をはったりしている。
そして、裏切られ、自らも裏切り、命を懸けてしまっている。

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ミスティック・リバー

2003
監督:クリント・イーストウッド
原作:デニス・ルへイン
出演:ショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ティム・ロビンス

ベストセラー小説をクリント・イーストウッドが映画化した。
ボストンの貧困地区。ジミー、デイブ、ショーンの3人の少年が路上で遊んでいた。
3人は、塗りたてのコンクリにいたずら書きをする。そこへ名乗る不審な男が現れ、自分の家の場所を正直に言ってしまったデイブだけを車に乗せ走り去る。
デイブは暴行を受けるが、無事保護される。
それから25年。ギャングを経て小売店を営むジミー。何でも屋のデイブ。刑事となったショーン。
そして、ジミーの19歳になる娘が死体で発見される。
ショーンが事件を担当。捜査線上にはデイブの名が浮かびあがってくる。
彼らの心に渦巻く家族への愛憎、日常への苛立ち、癒せぬ過去…。
事件は3人の過去を弄ぶようにして、非情な物語を導いてゆく…。
変質者から少年を救おうとして変質者を殺してしまったデイブ。
あやふやな言い方をして血だらけで帰宅したデイブを疑うデイブの妻。
デイブの妻の言葉に、デイブを娘殺しの犯人と信じてしまうジミー。
そして、ジミーはデイブを殺し、川に沈める。
その頃、ショーンは真犯人を突き止めていた。
デイブを殺してきたジミーに妻は、家族にとってあなたは王様でありあなたのすることは正しいという。

幼なじみだった3人の男の物語を、重厚なタッチで描くミステリー。
どちらかと言うと暗く重い映画だ。

はじめ、ショーン・ペン、ケビン・ベーコンが、中年のおじさんになっているのに、ややショックを受けてしまった。
かつて彼らは青年であり、さらには若者だった。当然といえば当然だが。20前後の子供がいて、ちょとばかり白髪もまじり、それなりの人生を生きていた、それが風貌からも感じられる。
そこに、転げるように過ぎていく時の流れを感じてしまった。
でも、その感覚こそが、この映画の求めているものだったかもしれない。
ショーンはどうしたのか、ジミーは捕まったのか、どうなったのか、映画ではラストを語らない。
その解釈を見るものにゆだねている。
ちょっとした感慨を含む悲劇だけれど、泣ける映画でもなく安易な感動もなかった。
けれど、とらわれてしまう映画だった。


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ティアーズ・オブ・ザ・サン

2003
監督:アントワン・フークア
出演:ブルース・ウィリス、モニカ・ベルッチ、トム・スケリット、
    コール・ハウザー、イーモン・ウォーカー
米国海軍特殊部隊シールで、任務遂行100パーセントの実績を誇るブルース・ウィリス演じるウォーターズ大尉は、内戦の激化したナイジェリアからモニカ・ベルッチ演じるアメリカ国籍の女医リーナ・ケンドリックスの救出を命じられる。
精鋭部隊を率いてジャングルの奥地へ赴くが、リーナは難民と一緒でなければ行かない言う。
そこで難民を従えての避難が始まる。やっとの思いでヘリでの救助地にたどりつくが、任務は彼女一人を救助すること。嫌がるリーナのみを無理矢理ヘリに乗せ飛び立つが、上空から難民の惨劇を目し、ウォーターズは命令を無視して引き返す。そして、体力のない人を優先でヘリで運ばせ、リーナを含む難民との苦難の国境越えが展開される。
プロとして忠実に軍務を全うしてきた男たち。目の前で生命の危機に陥っている人々を見捨てることができるか―人としての本質に迫る問いにおそわれ、兵士は、祖国や正義のためでなく、自らの心の声に従う道を選ぶ。冷徹な軍人であるはずの男たちが、夫を失っても尚、難民と共に生きようとする女医に、心を動かす。

確かに、感動し、泣けてしまった。
素直なところでは、わが身を省みず患者を救う、民間人を救う、医師や兵士に感動した。
この映画が言いたかったことは何だろう。
心の声に従った戦闘の正当化か。
兵士の仕事を全うし、そして銃弾に倒れてしまう。
敵・味方があり、殺す側と殺される側がある。
無抵抗な民間人を殺す兵士、しかし、次の瞬間には、殺される側になっている。
それを当然のこと、いやむしろ良いことの様にさえ感じてみてしまう。
けれど、彼らにも家族があり、職務と恐怖から行動しているのかもしれない。
だから仕方ない、というわけではなく、そうやって命を絶つことには虚無感は否めない。

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