ISU World Figure Skating Championships 2009 Los Angeles。
5日目の女子フリー、主な選手の演技感想。
◆村主章枝 秋によせて
最初は3Lz-2Tは丁寧に決めたが、Lzではアテンション。3Fは綺麗に決めたが、次の3Sはダブルの回転不足に。スパイラルはややスピードに欠ける感じはしたが丁寧に決め、3Lzもアテンションつきだが決めて、3Tは綺麗に決めた。3F-2T-2Tは、3Fの2フット降りのシーケンスに。そして2A-2Aシーケンスを決めたスピンからステップは情感を体現する演技。最後はスピンで締めくくり。
ジャンプでのミスが2つ、それでも全体にはまとまった演技。今の村主としては良い出来だったのだと思う。
◆サラ・マイヤー 黒のラポリア~秋のくれない
黒と白のかわいらしい衣装。最初は3Lz-2Tは綺麗に決めた。そして3Fはロングエッジだが綺麗に決めた。そして3S-2Tは何とか降りた感じ。そして得意のスピン。優雅な滑りからの3Sは1Sに抜けてしまった。そして優雅なスパイラルへ。3Lzは綺麗に決めて2Aはなんとか降り、2A-2Tは綺麗に決めて美しいスピンへ。ストレートラインステップも優雅に笑顔で、最後はスピンで締めくくり。
終始柔らかい笑顔で優雅に滑りきったが、終わったとたん感極まったような涙顔、ヘルニアを抱えての演技で、今できることをやりきった滑りきったそんな爽やかさにみている方も感動した演技だった。
◆エレーナ・ゲデバニシビリ ラテンメドレー
最初は高い3Lzを決めた。そして、3T-3Tを決めて、2Aも綺麗に決めた。次のスピンはどうしたのか超スローになってしまった。次の3Sは回転不足で2フット。スパイラルは美しくきめて、2A-2T-2Tを綺麗にきめたが、次の3Sはまたも回転不足で2フット。2Aはなんとか降りた感じでスピンへ。曲調が軽快になった中でストレートラインステップを軽快に滑りきり最後はスピンで締めくくり。
ミスはあったものの、笑顔での締めくくりと会場への挨拶、本人にとっては満足のいく出来だったのだろう。シーズンベストの得点にHappy!と叫ぶ姿がとてもチャーミングだった。だが、来年以降、怖い存在になるのかもしれない。
◆アレナ・レオノバ レイエンダ
最初はスピードにのって3F-2Tを決め、3Lzはアテンションつきだがなんとか降り、3Loも綺麗にきめスピンに。ややスピードに欠いた感じはしたが、スパイラルへ。そして2Aは綺麗に決め、3Fも綺麗に決め、後半に入って、3S-2T-2Loを決めてスピンへ。そして3T-2Aのシーケンスを綺麗に決めて溌剌としたステップ。そして最後はスピンで締めくくった。
演技を終了後はガッツポーズ、そして笑顔。シーズンベストの得点、ロシアにオリンピック出場枠2つをもたらす結果に涙の喜びだった。全体にスピンのスピードがいま一つな感じがしたが、小気味よく全体をまとめてきたジュニアチャンピオン。ロシアの新星の世界デビューとなった。
◆レイチェル・フラット 風と海の対話~小舟にて
最初は3Sを綺麗に決めた。次の3F-3Tは3Fで詰まって次は2Tの回転不足で2フット着地。次は3Loは決めてスピンも綺麗にきめて、表情も豊かにコンビネーションスピン。そして3Lzも決めて、2Aも決めて、3Lz-2Tも高く、スパイラルへ。そしてストレートラインステップから、3F-2T-2Loを決め、最後はスピンでフィニッシュ。
地元スケーターの演技に観客は惜しみない拍手。シーズンベストの得点は喜びのキスクラだったが、実は最後のスピンは同種のスピン違反か、ノーカウントとなってしまっている。
◆浅田真央 仮面舞踏会
臙の新しい衣装。最初はスピードにのって3A-2Tを決めた。そして次の3Aは回転不足で転倒。次の3F-2Lo-2Loは決めてスピンへ。そして丁寧に表情も作ってのスパイラル。3Loは綺麗に決め、3F-2Loは3Fは完璧だったが、2Loが回転不足をとられ詰まってしまった。次の3Tは綺麗に決めて2Aも決め、スピンへ。そして狂気のステップへ、身のこなしが洗練された分、迫力より綺麗に見えすぎた感じもした。最後はスピンでフィニッシュ。
演技後首をがっくりとおとしたが、仁王立ちで気を取り直し観客に挨拶。リンクサイドに返ってタラソワとハグ。キスクラでは笑顔で挨拶する姿、得点をみて多分落胆し、結果を察したであろうが、表情には出さない姿に大人になってきた真央とらしさを感じた。
◆ジョアニー・ロシェット アランフェス協奏曲
ゆったりとした曲調の中スピードにのって、3Lz-2T-2Lo。そして3Fは綺麗に決めた。次は3Loが2Loに。そしてフライングシットスピンからスピン。しっとりとした演技から3Lzはステップアウト、そして3T-3Sのシーケンスは決めて、上半身を使ったステップ。そしてスパイラル、2A-2Aのシーケンス、3Sも軽々と決めて、最後はスピンで締めくくり。
キスクラでは得点をみてびっくり、歓喜の表情だった。
◆安藤美姫 オルガン
ここまでジャンプは完璧、そしてスピン。そして情感をこめた演技でスパイラルへ。後半に入って、3Loは回転不足をとられてしまったが、3Lzも綺麗に決め、3T-2Lo-2Loを決め、2Aも決め、フライングシットスピンへ。そしてこれも情感をこめたステップ、最後はスピンでフィニッシュ。
観客はスタンディングオベーション。それに応える姿は満足の表情だった。得点はシーズンベスト。PCSもE,CC,INの3つに8点台がついて、ようやっとこの場で回復した感じだ。
◆キム・ヨナ シェヘラザード
最初はスピードにのって、高い3F-3T。ただしアテンションつき。そしてイナバウアーから2A、そして3Lz-2T-2Loも決めてフライングシットスピン。そして2A-3T、3Lzも綺麗にきめてスパイラルは笑顔で。次の3Sはすっぽ抜け、スピンは綺麗に決めて、ステップでは拍手をもらって表情も豊かに滑りきり2Aを決め最後はコンビネーションスピンでフィニッシュ。
演技後、思わず顔を覆った。そして見上げた顔は満足感にあふれた表情で、スタンディングオベーションの観客に応えていた。キスクラでは得点を見て感動の表情。PCSはすべて8点台。しかも4つが8.5以上。
◆カロリナ・コストナー ドゥムキー
最初は、3F-3Tの予定が最初の3Fで詰まって後半が1Tになってしまった。そして、次は3Lz-2T-2Loの予定が、2Lz-1T-1Lo。次も1F、そして次も1Lo。そしてスピン。2A-3Tは3tが回転不足で転倒、そして2S、2A。スピンはなんとかレベル4を保ち、表情は笑顔でストレートラインステップに、観客の励ましの拍手ももらってスパイラルからコンビネーションスピンで締めくくった。
演技終了後の泣きそうな表情、ひきつった表情で観客に挨拶する姿、落胆振りが痛々しかった。ポイントも90点台と信じられない点数に、キスクラで手を振る表情が虚ろで、なんとも痛々しい。
◆ラウラ・レピスト ドンファン
最初は丁寧な2Aから。そして3T-3Tの予定は2T-2Tに。次の3Lzはなんとか決めて、フライングシットスピンへ。そして3Loでは転倒。スパイラルは優雅に滑りきり、後半に入って、3Lo-2Tを綺麗に決め、2Aも決めてレイバックスピン。そして3S-2T-2Tを決めて情感を込めたサーキュラーステップ。そして最後はスピンでフィニッシュ。
滑りきったという表情。オーラスのすべりに演技後は脱力感だったかもしれない。キスクラでの表情は安堵の表情だったような気がする。
最後の表彰台の風景、国旗掲揚でキム・ヨナが流した涙には感じるものがあった。
いろいろなプレッシャー、思いの中での戦いをしているのだと感じた。
日本人選手の結果は、安藤美姫が表彰台に返り咲いたこと。一昨年の優勝から昨年の棄権、今シーズン前半の不振から、ここで存在感を認識させてくれたことは来シーズンに向けても、今回思った成績が残せなかった選手にも勇気をくれる結果になったのではないかと思う。
一方、浅田真央は、シニアデビュー以来初めての表彰台落ち。オリンピック前で逆によかったと思う。今シーズン、決して順調なシーズンではなく、特に前半は一戦一戦に課題の克服とか、女王としての位置に神経をすり減らして来たのではないだろうか。そして常に挑む姿勢で臨んだシーズンで、色々と学ぶことも多かったシーズンになったと思う。是非是非来シーズンに活かしてほしい。
村主章枝も28歳で8位の成績は若年化する女子の中で立派な成績だと思う。
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